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乙坂 重嘉; 佐藤 雄飛; 鈴木 崇史; 桑原 潤
no journal, ,
2011年8月から2013年1月にかけて福島県周辺ののべ24観測点で採取した海底堆積物中のIとCsの濃度の関係から、福島第一原子力発電所由来の放射性核種の海底付近での輸送過程を議論する。2011年における海底堆積物最上層(01cm層)でのI濃度は、0.040.45mBq/kg、Cs濃度は12230Bq/kgの範囲で分布しており、いずれの観測点でもおおむね一定のI/Csを示した。このI/Cs比は全体として時間と共に増加し、特に陸棚外縁部(水深200400m)の堆積物最上層で顕著であった。この傾向から、(1)事故直後の放射性核種の大規模な沈着イベント以降にI/Cs比の高い粒子が海底に達したことと、(2)このような「新しい」粒子は陸棚外縁へと集められやすいことが示唆された。海底付近での粒子中のI/Cs比は、陸棚上を移動する物質を追跡するための指標の一つとして有効であると考えられる。